北海道大学水産学部ワンダーフォーゲル部 山行報告書
【期日】2005年7月15〜17日(行動2日)
【山域】メップ岳(今金町、北檜山町)
【地図】メップ岳、カスベ岳
【目的】中級レベルの沢にチャレンジ
【人員】CL 野入善史(環境D3)
SL 松田圭史(設計D2)
M (eq) 白石淳也(動物4)
M (es) 浦西茉耶(発生4)
Observer 北川徹(北大山スキー部OB)
【装備】共装)ツェルト3人用と2人用、ガス缶(小)、ガスコンロ、熊避けスプレー、ハンマー2、ハーケン、ローソク、蚊取り線香、ノコ2、捨て縄6、ザイル9mm×50m、無線、医療、コッヘル大1中1、
個装)ラジ天、夏沢標準、フェルト地下足袋、メット、ハーネス、エイト環、カラビナ、セルフビレー用シュリンゲ2
【行動予定】
7/15 函館水産学部→目名川林道ゲート前C0
7/16 目名川林道ゲート前(04:00) →1.5h→ 利別目名川conta330m二股 (05:30) →1h→ conta430m二股 (06:30)→1h→ conta560m (07:30) →1h→ conta730m二股 (08:30) →2h→ メップ岳山頂 (10:30) →5.5h→ 目名一の沢c450m (16:00) C1 (12h)
7/17 目名一の沢c450 C1→1h→ c330m二股 →1.5h→ 目名川林道ゲート前 (2.5h) →函館
7/18 予備日
【実際の行動】
7/15 目名川林道入り口C0
メンバーの住居が函館・八雲・札幌に分散していたので、林道のゲート前に集合ということにしていた。最初にゲート前に到着したリーダーは車の窓を閉め忘れていて一斉に虫に襲われたので結局舗装路まで戻って、地図のダム印付近の駐車スペースにC0とする。それぞれ夕食をすませて車3台が集結したのは夜11時半頃。翌朝は早いので車中で早々と寝る。北川さんは外にテントを建てて寝たようだ。星空でよい天気。
7/16 C0→目名川林道ゲート前 (4:30) → 利別目名川c330m二股 (5:10) → conta430m二股 (5:55) → conta450m二股 (6:05-20) → conta500m二段の滝手前の大雪渓偵察 (6:40-7:20) → 大雪渓通過 (7:20-8:00) → conta500m 二段目20mの滝上 (8:35) → conta650mチムニー状の15mの滝(9:20) → conta730m二股 (9:45-10:00) → 藪漕ぎ突入 (12:00-) →メップ岳山頂 (13:25-14:00) → 利別目名川conta715m C1 (18:20)
4時に出発ということでみな適当に起きて朝食をとってパッキングをする。曇り空だが気温は高く暖かい朝。車を10分ほど走らせて・239を越えた付近にある目名川林道のゲート手前まで移動する。短い山行なのに何故かザックが重い。久々の沢に期待を膨らませていざ出発!林道を30分も歩くと下山路となる目名一の沢の橋を渡り、少し歩いてからc330m二股の上で目名利別川本流に入渓する。
川幅は狭く、しばらく河原を歩く。所々に滑床のような岩盤の露出した箇所があって歩きやすい。この沢には魚がいないのか魚影が全く見られない。370に3mの段差があるが右岸直登で楽に越える。あっという間に430二股を通過すると前方に大きな雪渓が見え始める。遠目にも沢を埋めているのが分かるが全体が見えない。今年は雪が多かったのでやっぱりかという感じ。450の8mの滝手前で休憩。ここまではほぼ予定通りのペース。8mの滝は印象にないので楽に越えたのであろう。雪渓のかけらをいくつか通過すると目の前に沢を覆いつくす巨大な雪渓が出現した。下部は入り口が高さ5m、幅が10m位のトンネルになっていて奥には15mの滝(「北海道の山と谷」では二段18mの滝の一段目)が見えている。雪渓の長さは50m近くあるだろうか。比較的安定してそうだがトンネルの中は暗くて気持ち悪いのでとてもじゃないがくぐる気がしない。左岸側から雪渓の上に乗って先を偵察に行く。雪渓の上は土砂で汚れていて汚い。折れた木の枝も混じっていて、どこから運ばれたのか、折れた山桜の枝には数輪の花が咲いていた。末端は15mの滝になっていて高さが20m以上あってとても降りられそうにない。左岸は草つきの泥壁で巻くのは危険だ。雪渓の厚そうな部分を選んで一人ずつ慎重に右岸に横断し、右岸の小尾根を小さく巻くのが安全そうだ。小尾根は足元が柔らかい泥壁だが、草やちょっとしたブッシュを掴んで細い木の生えたところまで15mほど登る。そこからは細い木に捨て縄を巻いて懸垂下降で反対側に降りるとうまく15mの滝の上に出ることができた。この雪渓の処理にかなり時間を要してしまう。ほっとする間もなく、すぐ目の前に20mの滝(「北海道の山と谷」では二段18mの滝の二段目)が待ち構えている。白石が右岸側を登り抜け口が微妙だったので、落ち口左岸の残置ハーケンを使ってザイルを垂らし、ウラニンはプルージックで登る。しかし逆にロープが邪魔で登り難かったようだ。他はゴボウ。小さな段差や雪渓のブロックをいくつか通過していくと650に4つの滝が連続して現れる。2つ目の滝はチムニー状の15mの滝となっているが松田が頑張って水流の中を登る。登り方がぎこちない。次に登ったウラニンの方が早く登る。730二股で小休止。ウドがたくさん生えていて松田と白石がてんぷら用に採集した。ここまで時間がかかったが、リミットの10:30をクリアできたので引き返すことはない。この沢を下るのは骨が折れるだろう。730からも滝が連続し、気が抜けない登りが続くが標高は確実に稼いでいる。落ち口が逆層で微妙な登りの滝があったが、トップで登ったリーダーは残置ロープがあったので迷わず掴んで登る。あるものは利用しない手はない。後続もロープを掴んで登ってきた。850の二股で左の方が水量が多いので本流だろうということで900と勘違いして左に入ってしまう。水が涸れても小さな枯滝がいくつも続いてお花畑に出る。周囲はガスで展望は望めないが、エゾカンゾウの黄色い花や紅色がかったエゾスカシユリなどの鮮やかさに思わず足を止めてしまう。この辺りの斜度は急できつい登りが続く。ウラニンが足を滑らさないようにゆっくり登る。最後に潅木帯に突入し、950付近の尾根に乗ってからはピークまでダケカンバと根曲がり竹を漕いでメップ岳のピークに出る。最後の藪漕ぎは長く感じた。ピークでは4月に遭難した友人の追悼式を行い、松田持参の供え物と線香を立てて黙祷を捧げた。供え物はみなで分けて食べた。
時間も遅いので目名一の沢に向けて下降を開始する。しかし適当に降りようとしたのでリーダーが北斜面に向かってしまい松田に呼び止められる。登ってきた尾根を降りてたつもりだったのだが・・・危なかった!みなで集まって下りの方針を確認する。白石にコンパスを切る方角を尋ねると330度???と全く違う方向を答える。コンパスを280度に切って1000付近の傾斜の変わり目まで降りてから可能であれば遭難地点のある・891の尾根に乗って残置されているスキーを探そうという方針で降りることにする。北川さんが持参したGPSを使って遭難地点の方向と距離を確認するが、ブッシュが濃い上に時間がないので捜索は困難と判断して諦める。ともかく急いで降りよう。・811の尾根に乗っているので右に降りていけばいいはずだ。しかし、右に行こうとすると後ろから左だという指示がくる。メンバーは・891への尾根にいるから左に降りるのが正しいという。ガスと藪で視界もなく、登りで850の二股の判断を誤ったこともあってメンバーの意見が正しいかもしれないと思う。松田とは最後尾で離れていたので確認しないまま左斜面を降りていく。藪を抜けて急な草つき斜面を慎重に降りてゆくと沢型に出た。これで一安心だが16時を過ぎていたので焚き火ができそうなテンバまでとにかく明るいうちに降りることにする。水流が現れてから小滝の連続でクライムダウンに時間を要する。尚も下り続けていると10mほどの滝が出現し、落ち口には見覚えのある曲がったハーケンが!ここでようやくとんでもないことに気付いた。なんと遡行してきた直登沢を降りて来てしまっていたのだ。一同衝撃を隠せない。あれだけ降りるのはゴクイだろうなぁと話していた沢を下降しようとしているのだ。しかし、ここまで来たら何が何でも降りるしかない。また藪を漕いで登り返すなんてことは考えられない。ということは登りと全く同じ850二股に降りてきたということである。ウラニンは850二股で登りと似ているなと思っていたらしい。滝が連続するがクライムダウンできる滝はなるべくザックをロープで降ろしたりして空身で通過した。行動時間は12時間を超えており、特にウラニンは疲れた様子だったのでみんなでホールドやスタンスを指示して慎重に降りるように心掛けた。北川さんのザックは驚くほど軽く、ウラニンの重たいザックと交換した。微妙な滝では迷わず安全のためにラッペルで対処した。この沢にはしっかりした木が少なく、ハンマーとハーケンがないと下降は無理だ。ピンは1回目は右岸に生えた2本の木に捨て縄巻いて。2回目は右岸の下向きに生えた心細い木を束ねて捨て縄巻いて下降。捨て縄は一人降りる都度にズルズルと移動したので、最後にラッペルしたリーダーはピンが抜けないかと冷や冷やした。3回目は左岸の残置ハーケン4枚に捨て縄追加して、4回目は落ち口の残置ハーケン2枚に捨て縄。715付近まで降りるのに4回もラッペルを強いられたのでかなりの時間を要した。体力的に消耗しているのと、時間が遅いので安全なテンバまで降りるのは危険と判断し、今夜はビバークすることにする。霧雨の中、右岸の草を刈って整地して5人が寝るスペースを確保する。木がほとんどないのでツェルトの支柱はなし。焚き火に使えそうな薪も見つからないのでガスストーブでお茶を沸かしてとにかく暖まる。お茶を飲んで一息ついた。ガスの量は少ないのでツェルトをかぶって米6合で雑炊を作って食べた。ツェルトの中は暖かく、服も半分くらいは乾いたのでそれ程寒さは感じなかった。唯一の救いは酒が豊富にあること。ビールや日本酒、ワイン、焼酎、・・・。とても消費できる量ではない。北川さん持参のアンコウの肝は、油べっとりだが病み付きになるうまさ。疲れのせいか酔いが早く回った。地面が傾いているので5人が頭を同じ方向にして並び、ツェルトを被って寝たのは20:45。外はガスガスだが気温は高く風もないのでよく眠れた。シュラカバだけの白石は寒くてあまり眠れなかったようだが・・・。
7/17 C1 (4:00/5:10) → 利別目名川conta650mチムニー状の滝 (5:50) → conta500m 二段目20mの滝 (7:00) → 大雪渓巻き終わり (8:15) → 林道 (9:10) →目名川林道ゲート前 (9:45)
4時に起床。濡れた服も寝ているうちに体温で乾いた。外は相変わらずガスガスで50mくらいしか見えない。お茶だけ飲んでパッキングして出発する。すぐに現れた5mくらいの段差は左岸を微妙なクライムダウン。650のチムニー状の滝は左岸の残置ハーケンと残置ロープを使って15mの懸垂下降。昨日で慣れているのと、降りるだけということでみな動きがスムーズで早い。500の20mの滝も左岸の岩に残置があって25mのラッペル。下まであと5m届かなかったが、下は傾斜が緩いので問題ない。滝の上から大雪渓を眺めていると2人パーティーが雪渓の上を右岸からトラバースして15mの滝の途中から取り付いてザイル確保して登ってくるところだった。聞けば札幌から来た社会人のようである。我々は登りで雪渓を高巻きしたが、登り返すのは大変なのでやめて改めてルート偵察を行った。社会人が通ったルートをリーダーが空身で見に行くが、逆層気味の15mの滝の上部は右岸側を降りて雪渓までは泥壁のトラバリとなっており、ザイル確保しても落ちたら雪渓のトンネルに入ってしまうし、自力で登り返すのは困難だろう。ザックを背負って通過するのも大変そうだ。結局、北川さんがトップで白石がザイル確保し、右岸の草付きを小さくトラバースして20mで雪渓の上に出た。雪渓にピッケルを刺してザイルを固定し、末端を岩でFixして一人ずつプルージックで通過した。足元はかなり滑りやすいが、斜面には根曲がり竹が生えていたので腕力勝負。最後に白石は北川さんがザイル確保してなんとか安全でコンパクトに巻くことができた。根曲がり竹がなければ大きく高巻くしかなかっただろう。雪渓の上を右岸から左岸に一人ずつ横断して慎重に降りる。前日に比べると明らかに雪渓は溶けて薄くなっている。トンネルの中はガスガスで先が見えなかった。雪渓を通過するとあとはザイルを出す箇所もなく、既に下山ムードで河原、林道と歩いて充実した山行に幕を閉じた。
帰りはコンビニでジューじゃんをしてから北檜山温泉に入った。ここの温泉はなかなか立派な造りをしている。温泉のレストランで北川さんにごちになり、昨夜食い損ねた天丼などを注文した。